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【新合格者必須】アセスメントの基本と実践のポイントを現役ケアマネが徹底解説

コラム

2024年12月26日

以前解説したインテークに関しては、病院や地域包括支援センターなどから新規の依頼をいただくことがほとんどだと思います。
今度はそこで概要情報を受けた上で、実際に訪問して、ご利用者様の状態や置かれている状況を客観的に評価・分析し、ご利用者様の課題を明確にすることをアセスメントといいます。

アセスメントに関しては運営基準に明記があります。
第13条に「居宅介護支援の具体的取り扱い方針」と書いてありますが、その6号から8号にアセスメントについて記載があります。
今回は重要な点をかいつまんで解説したいと思います。

六.介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者について、その有する能力、既に提供を受けている指定居宅サービス等のその置かれている環境等の評価を通じて利用者が現に抱える問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない。

第6号ではアセスメントを通じて、ご利用者様が抱える課題を把握していくというところが大事なポイントかと思います。

続いて第7号ですが、

七.介護支援専門員は、前号に規定する解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。

ここで重要なポイントはアセスメントを行う際は、ご利用者様の居宅を訪問し、ご利用者様及びそのご家族様に面接をして行わなければならないということです。

ですので、居宅以外の場所である、例えば居宅介護支援事業所にご利用者さま、ご家族様が来られて面接を行うことは、運営基準上のアセスメントとして認められないということが明記されています。

ただし、ご入院中の場合は例外的に居宅(自宅)以外の場所で病院でも認められていますが、アセスメント項目の中に自宅(家屋や周辺環境)の確認しなければならないという項目がありますので、入院中であっても家屋状況を確認することは忘れてはいけません。

そして第8号です。

八.介護支援専門員は、利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果に基づき、利用者の家族の希望及び当該地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案して、当該アセスメントにより把握された解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組合せについて検討し、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項等を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければならない。

こちらの第8号については、主にケアプラン原案の作成に関連のある部分ですが、アセスメントについても記載があります。
アセスメントを行う際には、ご利用者様から身体状況や歩行状態、認知機能に関することをかなり細かく確認します。
これがいわゆる、課題分析標準項目の23項目というところに該当いたします。

ただ、この際には一方的に質問をして、それをケアマネがアセスメントシートなどにまとめるというよりは、このアセスメントのタイミングでケアプラン原案の作成もご利用者様、ご家族様と一緒に行うと良いのではないかと考えております。

ですので、例えばアセスメントをして、歩行状態が落ちてきて外に出ることができなくなってきたということであれば、「そういうところに課題があるんですね、ではリハビリをして、それを解決するためにどんな目標を立てていきましょうか」というようにアセスメントを行いながら、課題分析・ケアプラン原案の作成まで共同で行うイメージなります。
このように話が進むと、頭の中で居宅サービス計画書の1表2表3表をイメージして「あそこの枠にこういう文言が入っていきそうだな」や「この質問をしてこういう目標を引き出していこう」などより効率的で役立つアセスメントが実施できるかと思います。

アセスメントとケアプランの作成はそれぞれ独立しているものではなく、一連の流れで一体的に行っていくという意識がここでは重要であると感じます。

初対面のマナー

まずご訪問をして初対面でお話しをするので、基本的なマナーに注意が必要です。例えば、インターホンを押して事業所名と氏名を名乗り、ご挨拶をすることから始まります。
冬場であればコートなどを着ているので、玄関先でコートを脱いでおくことや玄関で靴を脱いだ時に靴を揃えるなど基本的なところに注意しましょう。

周辺環境をよく観察する

アセスメントは自宅に入るところからではなく、現地に行く途中から始まっています。
例えば、自宅に行くまでの周辺状況に段差が多い道路がないかや近くに商店があるなど情報収集をしておきましょう。

またご利用者様宅に入ってみて、玄関先にどれぐらいの段差があるかや手すりがあるか、廊下はどのような状況かなどを細かくチェックしておきましょう。

聞きやすいところから話を広げる

アセスメントはアセスメントシートや標準23 項目に準拠して、順番に聞いていくというより、聞きやすいポイントやご利用者様が話しやすい内容から聞いていくのが望ましいです。
例えばご利用者様の主訴やご家族様の主訴などは非常に聞きやすいポイントなので、話が広がりやすいと思います。
今どういったことに困っているか、今後どんな風に生活していきたいかなどを聞いてみると良いでしょう。
またそこから生活歴や、お薬、病院について聞いていくと、違和感なくスムーズにアセスメントを進めることができるでしょう。
ただご家族様がご利用者様を目の前にして、その場では言いづらそうにしていることがあれば、アセスメントが終わった後に玄関先の方で少しお話を聞くなどのご家族様への配慮も必要だと思います。 

このようにしてケアプランを作成する際に必要となる、課題分析の結果、総合的な援助の方針、ニーズ、長期目標、短期目標、サービス内容などを埋められるように意識してみましょう。

なぜかを考える癖をつける

ご利用者様の主訴などを聞くときには理由を考えながらアセスメントしていくと、よりニーズがはっきりしていきます。

例えば1人でトイレに行くことができない場合には、「家屋状況に何か問題があるのかな」や「以前転倒したから怖いんだろうか」など、どこにこの方の課題があるかを推察しながら聞き取っていきましょう。またその際には、口頭だけではなくて実際の動作を見せてもらうことで理解を深めることも非常に大事です。

具体的に質問をする

これは非常に難しいことなのですが、ご利用者様がわかるように具体的に聞いていくというのも大きなポイントかなと思います。

例えば、ご飯を食べてますかなどの質問をするかと思いますが、ここで終わってしまっては具体的なニーズまでは聞き出せないかと思います。
この場合ですと「朝食はどのようなものを召し上がってますか」や「毎日決まった時間に召し上がっていますか」などのように聞く方が正確性が上がっていいかと思います。

また重要な水分摂取量も同様に聞いていくと良いでしょう。
1日どれぐらい水分を取ってますかという質問だとおそらく答えにくいと思います。
その場合には「500mlのペットボトルだと大体何本ぐらいは飲まれていますか、普段はどの湯吞で水分を取られていて、何杯位飲まれていますか」など実際にイメージしやすいものをあげながら聞くと、相手も答えやすいでしょう。

このように具体性のある情報を収集しておくと、ケアプランに反映する際に役立つことはもちろん、緊急で何かあった際にも医療機関に情報提供をすることができるので重要なポイントだと思います。

以上、アセスメントの基本について述べさせて頂きました。

令和6年度介護支援専門員実務研修受講試験に合格された皆様は、これから研修、実習に入っていきますので、実際にアセスメント~ケアプラン原案の作成を行っていくことと思います。

本内容がこれからの研修、実習に少しでも役立ちましたら幸甚です。